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日本とアメリカでなぜ違う?植毛への考え方から見る技術発展の差

日本とアメリカでなぜ違う?植毛への考え方から見る技術発展の差
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日本はもともと医療技術が発展している国です。それなのに、植毛に限って言うなら『日本は植毛後進国だ』と評されているのが現状です。

実際のところ、植毛先進国と言われるアメリカで主流の植毛方法では定着率が95%、日本で主流の植毛方法では定着率が70%という差が出ています。この差は大きいですよね。では、なぜそのような差が生まれてしまったのでしょうか?

それは、日本とアメリカで植える髪の毛の分け方が違ったからです。髪の毛の分け方の違いが、植毛技術の発展にまで影響を与えているのですから、興味深いですよね。

では、日本とアメリカではどう違うのか、その結果どのように技術の発展に差が出たのか、見てみたいと思います!

日本では髪の毛を1本ずつ植えていた!発展したのは単一植毛法

日本では、髪を細かく分けて植えた方が、植えた髪の毛が定着しやすいという考えのもと、髪の毛1本を植毛の単位と捉えました。

そこで、植毛とは、髪の毛を1本ずつ植えていくことだという考え方が広まりました。それを元に発展した植毛技術は、単一植毛法と呼ばれる方法です。

単一植毛法とは?

単一植毛法とは、施術を受ける人の頭から採取した髪の毛を、1本ずつ植えつける植毛法です。

単一生毛植毛はもともと医療として研究されていました。

怪我や病気で頭皮の一部がハゲてしまった方への治療手段だったのです。

日本では1939年、1943年に奥田教授、田村一教授が学会に発表したのが「単一生毛植毛法」の始まりです。

もともと単一植毛法は、病気やけ怪我で髪の毛が抜けてしまった人に対する治療法として考えられたものなんですね。

では、どのように移植をするのか、詳しく確認したいと思います。

単一植毛法による毛髪の分け方と移植の仕方

単一植毛法では、移植を受ける本人の頭から皮膚を塊の状態で切り取り、それを髪の毛1本単位で株分けし、株分けしたものを移植していく方法が取られています。

髪の毛1本単位で株分けされた髪の毛は、下の図のようになっています。
株分けされた髪の毛

このように株分けした髪の毛を、針のような構造をした植毛器にセットし、植えていくというわけです。針のようになっている植毛器を使うため、頭皮に穴をあけるのと髪の毛の移植が同時に行えます。

髪の毛1本単位で、単一植毛法によって植毛をした場合の定着率は、70%程度と言われています。

単一植毛法は髪の毛を1本ずつ植える方法なんだな。

それだと、定着率は70%しかないのか?それじゃ、かなりの髪の毛がムダになっちまってるじゃねーか。

ただでさえ少ない髪の毛なんだから、大切につかわなきゃダメだろ…。

アメリカでは毛包単位で髪を植えていた!発展したのはFUT法

アメリカでは、髪の毛のみを植えるよりは、周りの組織も一緒に植えた方が定着しやすいという考えのもと、毛根を包む組織も含めて植毛の単位と捉えました。

そこで、植毛とは、毛髪とその周りの組織も一緒に植えることだという考え方が広がりました。それを元に発展した植毛技術は、FUT法と呼ばれる方法です。

FUT法とは?

FUTとは、Follicular Unit Transplantation(フォリキュラー・ユニット・トランスプランテーション)という言葉の略です。

フォリキュラーは毛包、ユニットは単位、トランスプランテーションは移植を表す英単語です。それを合わせて、毛包単位の移植という意味になります。

毛包という言葉は、あまり聞き覚えが無い方もいらっしゃるかもしれませんが、これは毛根を包んでいる組織を表す言葉です。
毛包

この図を見ていただければ、毛包についてイメージがわきやすいのではないかと思います。

FUT法は、施術を受ける人の頭から採取した髪の毛を、毛根のみの状態ではなく、毛根を包む組織である毛包単位で植えつける植毛法です。

FUT法による毛髪の分け方と移植の仕方

FTU植毛では、移植を受ける人の頭から皮膚を塊の状態で切り取り、それを毛包単位で株分けして移植していく方法が取られています。

毛包単位で株分けされた髪の毛のことを、グラフトと言います。グラフトには、下記のような種類があります。

グラフトの種類

グラフトの種類
単一植毛法では、髪の毛1本単位で分けられるところが、FUT法では、より大きなまとまりに分けられていることがわかります。

単一植毛法とFUT法の違い

ですが、このイラストを見ると、髪の毛1本のグラフトもあることから、単一植毛法と同じではないかと疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。

確かに、これらのグラフトの中には、髪の毛が1本しかついていないものが、少数ですがあります。しかし、その場合でも、毛根のみではなく、毛根を包む組織である毛包まで含まれたグラフトとなっています。

1つの毛根には、髪の毛が1~3本生えています。さらに、1つの毛包内には、通常1~3個の毛根が含まれています。

そのため、毛包内に1つしか毛根が無く、1つの毛根から髪の毛が1本しか生えていない場合に、髪の毛が1本しかついていないグラフトができる場合もあるわけです。

単一植毛の場合、髪の毛1本単位で分けるのと共に、毛包を含まない毛根単位で植毛が行われることが特徴となっています。毛包が含まれているかどうかという点で、単一植毛とFUT法は異なっているわけですね。

これらのグラフトを、移植予定の範囲に開けられた1~2ミリの大きさの、小さなスリットに植毛します。この方法で植毛をした場合の定着率は、95%程度と言われています。

なるほどな!

FUT法ってのは、髪の毛を毛包単位っていうまとまりで植える方法なんだな。それだと定着率が95%だって!

できればたくさんの髪が根付いてほしいからなあ。これくらいの結果は期待したいもんだぜ。

どっちがおススメ?日米で主流の単一植毛法とFUT法を徹底比較

ここまで、単一植毛法とFUT法の髪の毛の分け方や移植の仕方について見てきました。定着率ではFUT法の方が上ですが、仕上がりや費用など他の面で比べるとどうなのでしょうか?

そこで、単一植毛法とFUT法はどちらがおススメの植毛方法と言えるのか、徹底的に比較してみたいと思います。

植えた髪の毛の定着率

最初にも触れましたが、植えた髪の毛の定着率は下記の通りです。

単一植毛法 FUT法
70% 95%

なぜこのような差が出るのかというと、髪の毛の分け方の違いによるものです。

株が小さいと出来上がりは自然になります。

ですが、株を細かく分けるほど採取した頭皮・毛髪をダメにする量が多くなってしまいます。

毛包は、毛髪が生存するためには欠かせない組織です。毛包に包まれた毛根があって、そこから髪が生えているというのが、髪の自然な生え方なのです。

単一植毛法の場合は髪の毛を1本単位に分けますが、FUT法の場合毛包単位で移植します。つまり、髪をより自然に近い状態で植えることになりますから、定着率が高くなるわけです。

定着率の差について

また、移植方法にも、定着率に差が出る原因があります。

  • 単一植毛法…移植器の針の圧力によって毛根がダメージを受けやすい
  • FUT法…顕微鏡と一枚刃のメスを使うので、毛根を傷つけにくい

単一植毛では、植える時の圧力が問題で定着しにくくなっていることも問題です。また、植える髪の毛の長さが問題で抜けやすいという事実もあります。

FUT法では、髪の毛を採取する際に顕微鏡と一枚刃のメスを使用することで、毛根が傷つきにくくなっており、植える際にもスリットに植えていくので毛根に圧力がかかりません。

先ほどお話ししたように、日本では髪の毛を細かく分けた方が定着しやすいと考えられていたのですが、実はそうではなかったということが後にわかりました。

髪の毛の濃さや毛の向きなど、自然に見えるかどうか

次に、それぞれの方法で髪の毛の移植を行った場合、どちらが自然に見えるのか比較したいと思います。

比較する内容 単一植毛法 FUT法
髪の毛の濃さ 密度が低くなる 密度が高くなる
髪の毛の向き 髪の向きが調整しやすい もともと生えていた単位で切り取るので自然に見える

髪の毛は、密度が高いほど濃く見えます。単一植毛の場合、髪の毛を1本ずつ植えるため、どうしても密度が低くなってしまいます。そのため、植毛した部分が薄く見えてしまうこともあります。

対してFUT法の場合、グラフト単位で髪の毛を植えるため、密度を高くすることができます。

次に髪の毛の向きについてですが、単一植毛では、髪の毛を1本ずつ植えることから、髪の毛の向きや植える角度が調整しやすくなっています。

髪の毛の向きは、人や植える部位によって違うため、髪の毛の向きが調整できると、それに合わせて植えられ、より自然に見せることができるんですね。

一方FUT法の場合、自然に髪の毛が生えている状態に近い移植ができるので、移植した髪の毛も自然に見えます。

髪の毛の向きによる見え方に関しては、どちらの方法を選んでも問題がなさそうですね。しかし、密度には差があるので、植えた髪の毛の密度が高いFUT法の方が、さらに自然に見えます。

手術の傷跡の大きさ

手術の際の傷跡の大きさについては、下記のようになっています。

単一植毛法 FUT法
植毛器が針のような構造なので傷跡が小さい スリットに植毛するので傷跡が大きい

単一植毛の場合、針のような構造をした植毛器を使うので、傷跡は小さくなります。FUT法では、スリットに植毛するため、どうしてもスリットの大きさと同じ傷跡が残ってしまいます。

ちなみに、スリットの大きさは、1~2ミリ程度です。これを大きい傷と見るかどうかは、個人のイメージによりそうですが、傷跡が小さいのは単一植毛の方です。

手術費用

手術費用については、下記の通りです。FUT法はアメリカで主流の方法ですが、単一植毛法と比較しやすいように、ここで挙げた値段は日本の例となっています。

単一植毛法 FUT法
1000本の移植で50~100万円 1000本の移植で45~60万円

植毛する場所や範囲、それからクリニックによっても費用に差はありますが、目安となるのはこれくらいです。

単一植毛の場合、植毛器の値段が高いので、手術費が高額になってしまいます。FUT法では植毛器を使わないので、費用が抑えられるというわけですね。

手術時間

手術時間については、下記の通りです。これも、日本での例を元に比較しています。

単一植毛法 FUT法
1000本の移植に3~4時間かかる 1回の手術に3~6時間かかる

単一植毛法では、髪の毛を1本ずつ植えるので、どうしても時間がかかってしまいます。

しかし、FUT法は、それ以上に時間がかかることがあります。なぜなら、傷をつけないように植えるための髪を採取するのに時間が必要で、また株分けにも時間がかかるなどの理由から、どうしても移植時間が長くなりがちです。

FUT法の手術時間に関しては、本数による必要な時間などの目安を示した数字はなかったので、平均時間に関するデータをご紹介しています。

手術時間は同じくらいか、場合によってはFUT法の方が長くかかります。

ショックロス

ショックロスという言葉は、あまり聞き覚えがないと言われる方が多いかもしれませんね。ショックロスとは、植毛をした部分の周辺部の、もともと生えていた髪の毛が抜けることです。

抜けた髪の毛が後から生えて来る可能性は高いのですが、抜けている間は、せっかく植毛をした後なのに薄毛になってしまうというわけですね。

単一植毛法では、このショックロスが起こる確率が高いと言われています。

単一植毛法とFUT法

これまでの内容を元に、単一植毛法とFUT法がそれぞれどのような特徴を持つ植毛法なのか、まとめたいと思います。

単一植毛法

髪の毛を1本ずつ植えるので、髪の向きが調整しやすく自然に見せられ、残る傷跡は小さい。しかし、定着率と髪の密度がFUT法に比べて低く、費用が高額になりやすい植毛法。ショックロスが起こる可能性も高い。

FUT法

髪の毛を毛包単位で植えるので、定着率と髪の密度が高くなり、また髪の毛が生えている状態に近い単位で植えるので自然に見せられる。さらに、費用も単一植毛法に比べて安い植毛法。しかし、傷跡が大きく(1~2ミリ程度)、移植に時間がかかる。

比較してみてどうでしょうか。確かに、傷跡が小さく自然に見せられる単一植毛法ですが、髪の毛が薄く見え、さらに定着率が低く費用も高いので、難点が多そうですね。

それに対してFUT法は、傷跡が単一植毛法に比べて大きく、場合によっては移植に時間がかかることがありますが、定着率も髪の密度も高くでき、さらに費用も安いというメリットのある植毛法です。

これを見ると、FUT法で移植を受けたいと思われる方が多いのではないでしょうか?

単一植毛法だと傷は小さくても髪の毛が薄く見えちまうのか…。

傷跡が大きくて時間がかかるとしても、俺だったらFUT法で移植を受けたいよなあ。

だって、せっかく移植するんなら、髪の毛が濃く見える方がいいだろ?

日本でも今後はFUT法が主流になる?現在の植毛事情

実は、日本国内でも、単一植毛法の定着率の低さから、対策が考えられています。ということは、日本でもFUT法での移植が当たり前のように受けられるのかと言うと、実はまだそこまでの進歩はしていないのが現状です。

では、日本でのFUT法の現状を見てみましょう。

日本でFUT法による移植を受けられる?

結論から言えば、日本でFUT法による移植を行っているクリニックは、少数ですがあります。しかし、FUT法を日本で受けようと思ったとしたら、下記の点に注意が必要です。

  • 設備と人手が必要なので、できるクリニックが限られる
  • 熟練した技術が必要なので、仕上がりが施術をする人の技量に左右される

FUT法は、顕微鏡を使って行われますので、その設備がなければこの方法が行えません。さらに、髪が定着しやすくするためには、素早く株分けして移植することが大切です。そのため、人手も必要です。

それができるクリニックは、設備が準備でき、人手も多く揃っているという条件を満たしたクリニックとなります。

さらに、植毛を行うためには熟練した技術が必要なのですが、その点でも問題があります。植毛の技術は現場で育てるのが日本の流れですが、そもそもFUT法で植毛を行っている現場が少ないのですから、技術を育てるのが難しいというわけです。

つまり、95%という高い定着率を持つこの方法は、日本で受けることはできても、実際に受けようと思ったらクリニック選びが大変になるということなのです。

今後、日本でFUT法による移植は主流になる?

では、今後日本でFUT法による移植が主流になるのでしょうか?

確かに、FUT法を取り入れるクリニックも出て来ています。しかし、全てのクリニックがFUT法を取り入れられるかというと、実はそうではないのです。

それには、先ほど、日本国内でFUT法による植毛を受けるとしたらネックになる部分として挙げた、『FUT法の場合は設備と人手が必要だ』という内容が関係しています。

先ほど確認したように、FUT法による植毛を行うためには、顕微鏡が必要です。また、素早く株分けして移植するために人手も必要となります。

その条件を満たそうと思ったら、ある程度大きな規模のクリニックである必要が出てきます。なぜなら、小さいクリニックの場合、顕微鏡を買うための費用が捻出できないこともありますし、多くの人を雇えない可能性もあるからです。

そう考えると、小さいクリニックの場合、FUT法を取り入れたくても、事実上不可能だということが言えるのです。

しかし、FUT法による植毛を取り入れるクリニックが増えていることは、確かです。そのため、全てというわけにはいかなくても、今後FUT法を採用するところが増えるだろうということは予測できますが、それが主流と言えるまでにはまだまだ時間がかかりそうです。

定着率を上げるための日本の植毛の工夫とは?

そこで、日本では定着率を上げるために単一植毛法での工夫がされるようになりました。それは、より自然な仕上がりと定着率を求めて、1つの毛根から複数の髪の毛が生えている場合は、複数の毛がついた状態のまま毛根ごと植毛する方法を取ることです。

以前の方法では、1つの毛根から複数の髪の毛が生えている場合でも、髪の毛を1本ずつに分けて、髪の毛1本単位での植毛を行っていました。

しかし、最近では毛根単位での移植を行うクリニックが増えています。

なるほど、日本ではすぐにFUT法が広まるってわけじゃないんだな。

でも、単一植毛法の植える単位を変えることで、定着率を上げることに成功してるって言うんだから、日本の植毛も大したもんだぜ。

植毛をするなら、自分に合った方法を選ぼう!

以上のように、植毛をする場合、髪の毛をどのような単位で分けるかで大きく定着率が変わることがわかっています。

日本とアメリカの植毛技術の発展の違いを生んだのは、植毛の単位をどう捉えるかという、小さな違いだったと言ってもいいでしょう。しかし、その小さな考え方の差が、日本とアメリカの現状を大きく変えています。

ですが、日本でも髪の分け方を工夫することで定着率を上げることに成功していますので、同じ単一植毛法を実施しているクリニックでも、どのように髪を分けて植えているのかをチェックすることで、より定着率の高い植毛を受けることも可能です。

また、FUT法を取り入れるクリニックも増えてきています。

そこで、植毛をしたいと思っている方は、植毛の技術にも違いあることを知り、自分がどの方法で植毛を受けたいのかよく考えてみると、満足のいく植毛を受けられそうですね!

※※植毛について詳しく知りたい方はコチラの記事へ
植毛とは?その仕組みを分かりやすく解説します!

植毛手術にも色々な方法があって、それぞれメリット・デメリットがあるという事が分かったな。

単一植毛法とFUT法かぁ・・どっちの治療方法を受けるべきなのか悩ましんだぜ!

そもそも、お金が無くて受けられないけどな(泣)

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