日本中の多くの方はタバコ(ニコチン)が体に悪いことを既にご存知だと思います。
またタバコを購入すると箱には、「肺がんや心筋梗塞、脳梗塞の危険性を高める」など喫煙者に注意を促す文言が掲載されており販売者もその事を認めています。
実はタバコの害は表示されている内容だけではありません。
直接的な原因ではないにせよ、AGA(男性型脱毛症)の原因物質を増やしてしまうなどの理由からタバコは薄毛とも大きく関わっているのです。
そこで!なぜタバコが髪に悪影響を与えるのかを分かりやすく解説するとともに、禁煙に興味を持たれた方に向けて禁煙の方法や現状についても解説していきます。
ハゲ・薄毛を招く!タバコが髪に悪影響を与える理由まとめ
髪がハゲたり薄毛になったりするのには、いくつかの原因があります。薄毛治療専門のヘアメディカルグループは、男性型脱毛症であるAGAには遺伝や男性ホルモンが関わっているほか、食生活や生活習慣なども関係していると説明しています。その中で、タバコも薄毛に悪影響な生活習慣の一つとして挙げられているんですよ。
タバコが髪に悪影響だと言える4つの理由
タバコが髪に悪影響だと言われるのには、以下の4つの理由が考えられます。
- AGAの原因になる物質DHTを増やす!
- 血流を悪くし酸素や栄養が頭に行き届きにくくする!
- 肝臓の代謝機能が落ち髪に栄養が届きにくくなる!
- 髪を育てる働きをするビタミンを奪う!
では、それぞれについて詳しく確認していきましょう。
でも、タバコ愛好家のオレとしては、そんなにすぐ信じたくない気持もあるんだよなあ。よし、詳しく聞かせてもらおうじゃないか。
調査で判明!喫煙でAGAの原因物質DHTが13 %も増える事実
タバコが髪に悪影響を与えると言える1つの目の理由は、喫煙でAGAの原因物質が増えることです。では、詳しく見ていきましょう。
AGAの大きな原因!DHTとは?
薄毛に悩む男性なら聞き覚えがあるかもしれませんが、AGAにはDHT(ジヒドロテストステロン)と呼ばれる悪玉の男性ホルモンが関わっています。
悪玉男性ホルモンDHTはテストステロンという名前の悪玉ではない男性ホルモンが5αリダクターゼⅡ型という酵素よって変化して生じると説明されています。
さらに、DHTが毛乳頭細胞の男性ホルモンレセプターと結合すると、発毛抑制作用成分であるTFG-β1になってしまいます。つまり、発毛抑制成分ができることで発毛が阻害され脱毛が促進されるので、結果として薄毛になるわけですね。
そのためAGA対策にはDHTの抑制が重要で、AGA治療クリニックもDHTの発生を抑制する仕組みで薄毛を改善する治療薬(プロペシア)を取り入れています。
この治療薬は厚生労働省の認可も受けていますし、公益社団法人日本皮膚科学会もプロペシアは男性型脱毛症に対して効果があるため強く勧められる治療法であることを男性型脱毛症診療ガイドライン内で述べています。
喫煙でDHTが13%も増えることが調査で明らかに!
AGAの大きな要因と考えられるDHTですが、ハーバード大学の公衆衛生学部の調査によると、非喫煙者に比べて喫煙者のHDTが13%も増加していたという結果が出ています。
DHTに変化する前のテストステロンも喫煙者の方が9%増加しており、それがDHTになると13 %も増加しているということですね。だから、タバコが薄毛に影響すると言えるのです。
ハーバード大学調査となると、信憑性も高いよなあ。タバコくらい髪のことを気にせずに吸わせてほしいものだな…。
タバコによる血流悪化と酸欠が髪への栄養・酸素供給を阻害し薄毛に!
タバコに含まれるニコチンが血流を低下させることは多くの方がご存知だと思いますが、それこそがタバコが髪に悪影響を与える2つ目の理由です。また、タバコに含まれる一酸化炭素が酸欠状態を引き起こすことも関係しています。
では、それらの有害物質がなぜ薄毛に関係するのか、見ていきましょう。
ニコチンで血流悪化!
「ニコチン」は法律上毒物に指定されている物質で、血管に対して以下のように作用します。
- 脈拍を早くする
- 血管を収縮させる
- 動脈硬化を引き起こす
ニコチンは興奮剤として働くため、摂取することで脈拍が早くなる・血管が収縮して血流が悪くなる・血圧が上がるといった影響が出ます。血管が詰まる症状である動脈硬化が起こると、さらに深刻な状態になります。
その上、ニコチンには胃腸の働きを低下させる作用まであります。
一酸化炭素で酸欠に!
タバコが燃焼すると「一酸化炭素」が発生します。一酸化炭素は、吸い過ぎると酸欠状態を引き起こします。
本来、人が呼吸をすると、赤血球中のヘモグロビンと空気中の酸素が結びつき、血液の流れに乗って全身に酸素が運ばれ、生命活動をする事ができます。ところが、一酸化炭素は酸素よりもヘモグロビンと結合する力が高く優先的にヘモグロビンと結びつくので、酸素が運ばれなくなります。だから酸欠になるんですね。
髪の毛は栄養と酸素が無ければ育ちません!
髪の毛が育つためには、以下のような働きを持つ毛母細胞という細胞が活発化していなければいけません。
毛乳頭周辺にある細胞組織。
毛乳頭から酸素と栄養素を受け取って細胞分裂し、髪の毛を作る。
だから、薄毛を防ぐためには血流がいいことが求められるわけです。また、酸素が無ければ毛母細胞の細胞分裂が上手く行われませんから、酸素も必要です。
ニコチンの影響で血流が悪くなって酸素や栄養素が頭皮まで運ばれず、さらにニコチンの胃腸の働きを低下させる作用で栄養をうまく吸収できないため、ますます栄養不足に陥るわけですね。
その上一酸化炭素の影響で酸欠になるのですから、薄毛が進行してしまう理由がよくわかります。
血流不足はヘアサイクルも乱す!
ヘアサイクルとは、髪の毛が3年から6年かけて周期的に抜けたり新しい髪が生えたりを繰り返すことです。ところが、頭皮の血流低下や男性ホルモンの影響などが理由で、毛母細胞に十分な栄養素が送られないと、以下のようにヘアサイクルが乱れ太い髪が育たなくなってしまいます。
血流の悪化は、ヘアサイクルにも悪影響なんですね。
AGAクリニックでもタバコの有害物質による悪影響が指摘されている!
AGA治療に携わっているクリニックでも、ニコチンによる悪影響が指摘されています。
ニコチンは血管を収縮させる作用があり、その結果血行不良となります。血行不良になると血液によって酸素や栄養を体中に運ばれていたものが運ばれなくなります。
また、血液は重要な箇所(心臓や脳)から酸素や栄養を運ぶので重要度の低い髪の毛が影響がでやすくなります。
その結果、毛母細胞の活動が阻害されて薄毛が進行すると説明されています。
それなのに、タバコを吸うと頭に酸素も栄養も行かないだと!?それでは髪が育ちにくくなるのは当然じゃないか。
喫煙で肝臓の代謝機能が悪化すると薄毛に?肝臓と髪の意外な関係
タバコが髪に悪影響だと言える理由の3つめは、喫煙によって肝臓の働きが悪くなることです。では、肝臓の働きと髪の毛の関係性を見ていきましょう。
肝臓の働き
肝臓には、下記のような働きがあります。
- 体に取り込んだ栄養を体が活用しやすい形に合成したり変換したりする
- 有害物質を解毒する
体に取り込んだ栄養を活用できるのは、肝臓が栄養を合成したり変換したりしているからです。効率的に栄養を使うには、肝臓の働きが欠かせないんですね。
喫煙すると肝臓は解毒作業に追われる!
先ほど確認したように、肝臓は有害物質を解毒する働きも持っています。タバコにはニコチンを始め様々な有害物質が含まれているので、喫煙すると肝臓は有害物質の解毒作用に追われ、栄養を合成・変換する働きをすることができません。
さらに、タバコにはとても毒性が強いアセトアルデヒドという物質も含まれているため、大量に喫煙するとアセトアルデヒドの分解が間に合わず、肝硬変を起こすこともあるほどです。
つまり、肝臓に負担を掛け過ぎると、肝臓の代謝機能そのものが低下して、摂った栄養を使いやすくできず効率が悪くなってしまうのです。
だから頭皮が栄養不足になり毛母細胞が活発化しないので、喫煙で肝臓に負担を掛けると髪の毛が生えにくくなると言えるのです。
だから、タバコで肝臓に負担を掛けると肝臓が弱って栄養が上手く使えないってわけか。栄養を摂っても栄養不足ってのは、勘弁してほしいもんだぜ。
タバコの有害物質は髪を育てる働きをするビタミンを奪ってしまう!
髪が健康に育つためには、ビタミンが欠かせません。
ですが、タバコの有害物質はビタミンを奪う性質を持っているため、髪に悪影響です。
では、詳しく確認しましょう。
髪の生育に必要なビタミンの種類
髪が健康に育つには、以下のようなビタミンが必要です。
ビタミンの種類 | 働き |
---|---|
ビタミンA | 頭皮の潤いを保つ |
ビタミンB2 | 皮脂の過剰分泌を防いで頭皮の環境を良くする |
ビタミンB6 | 髪を作る元になる |
ビタミンB12 | 毛母細胞での細胞分裂を促す |
ビタミンC | ビタミンEの吸収を助ける |
ビタミンE | 血管を拡張する |
このように、様々なビタミンが髪のために役立っているんですね。
喫煙によって奪われるビタミン
喫煙で奪われるのは、以下のビタミンです。
- ビタミンC…ニコチンによって壊される
- ビタミンB12…シアン化水素と結合するため欠乏する
それでは、先ほどの髪の生育に必要なビタミンの表と照らし合わせてみましょう。
ビタミンCにはビタミンEの吸収を助ける働きがあるため、ビタミンCが奪われるとビタミンEが吸収されにくくなります。すると、結果として血管を拡張する作用を持つビタミンEが不足した状態になって、血管が収縮して血流が悪くなるんですね。
また、ビタミンB12には細胞分裂を促す働きがありますので、不足すると毛母細胞での細胞分裂が上手く行かなくなります。毛母細胞は髪の毛を作る細胞なので、ビタミンB12が欠乏すると髪の毛が健康に育たなくなるというわけです。
そのため、ビタミンを奪う喫煙は髪の毛の生育に悪影響だと言えるのです。
そのせいで血流が悪化したり毛母細胞で細胞分裂が上手く行かなくなったりしてしまうのか…。髪の毛が育ちにくくなるのもわかるなあ。
吸わない人も要注意!?副流煙もハゲ・薄毛の原因になる!
髪の薄さが気になっている人の中には、自分はタバコを吸わないのに…とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。そのような場合、家や会社など身近なところにヘビースモーカーがいないか、考えてみてください。
思い当たる場合、貴方以外の人が吸っているタバコの悪影響で頭髪が薄くなっている可能性も否定できません。では、そう言える理由を見ていきましょう。
副流煙は主流煙よりも有害物質の濃度が高い!
有害物質の種類にもよりますが、副流煙には主流煙の数倍から数十倍も有害物質の濃度が高いんですね。
ニコチンには血管を収縮させたりビタミンCを壊したりする作用がありますが、その作用が数倍になると思うと、副流煙を吸うことの危険性がよくわかります。
受動喫煙の体への害は下記の通りです。
ヘビースモーカーが近くにいれば喫煙者本人以上に悪影響を受けている可能性があるので、自分は喫煙者ではなくてもタバコが原因で薄毛になるリスクがあることは十分考えられるのです。
分煙、って言われるけど、そうとわかると考えなきゃって思うよなあ…。
実は健康保険適応可!禁煙治療の流れや費用を紹介
ここまで読まれて、薄毛には男性ホルモン等も関わっているので、直接の原因ではないにせよ「薄毛を招く危険性があるのなら禁煙したい」と思われた方に向けて、禁煙治療の現状についてお知らせします。
まずは確認!禁煙でAGAが進行しにくくなると言える根拠
禁煙するなら目的を持った方が長続きしますよね。そこでまずは、禁煙することでAGAが進行しにくくなると言える根拠からご紹介しましょう。
薄毛治療に携わる銀座総合美容クリニックでは、台湾人の男性(40歳~91歳の人)740人を対象として行われた調査を元にした、タバコとAGAの関係に関しての論文を紹介しています。内容は、脱毛の有無や始まった年齢など、いろいろな危険因子に関する質問をしたというものです。
・Hamilton-Norwood分類において中等度から重度のAGA患者には喫煙者が多い
・1日20本以上喫煙する男性は、そうでない男性と比べてAGAになる確率が高い。
・ニコチン含有量の高いタバコを吸えば吸うほどAGAが重症となる相関性があった。
Hamilton-Norwood分類とは、以下のように薄毛の進行具合を分類したものです。
この結果を元に、薄毛に悩んでいる人は過剰な喫煙(1日20本以上の喫煙のこと)を控えた方がいいと結論付けられています。
また、同じく薄毛治療の専門医院銀座HSクリニックでも、喫煙と発毛の関係について以下のように述べています。
喫煙率の推移
では、現在どれくらいの人がタバコを吸っているのでしょうか?
厚生労働省によると、成人男性における喫煙率は減少しているものの諸外国と比較すれば高い状態にあり、成人女性における喫煙率はほぼ横ばいの状況だということです。
ニコチンには依存症があるので自分では治療しにくい!
禁煙は、自分でするのはかなり大変です。皆様もご存知のようにニコチンには依存性がありますので、喫煙をやめたくてもやめられない状況に陥るわけですね。
喫煙者がニコチン依存症かどうかをチェックする方法として、ニコチン依存症のスクリーニングテスト「TDS」というものがあります。例として以下のような質問があり、はいと回答すると1点加算され、スコアが5点以上だと依存性があると判断されます。
- 吸うつもりの本数よりもずっと多くのタバコを吸うことがある
- 禁煙・減煙を試みてできなかったことがる
- 禁煙・減煙を試みた時にタバコがほしくてたまらなかったことがある
このテストは一般社団法人日本循環器学会禁煙推進委員会のホームページなどにも紹介されていますので、チェックしたい方は試してみてください。
健康保険を利用するための条件
実は、タバコを吸うことは単純に喫煙習慣があるということではなく、依存症による疾患だと捉えられるようになったことから、禁煙治療に健康保険が適用されるようになったんですよ!
ただし、健康保険による治療を受けるには以下の条件をすべて満たしている必要があります。
1. ニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS)で5点以上、ニコチン依存症と診断された方
2. ブリンクマン指数(=1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上の方
3. 直ちに禁煙することを希望されている方
4. 「禁煙治療のための標準手順書」に則った禁煙治療について説明を受け、当該治療を受けることを文書により同意された方
上記の要件をすべて満たした方のみ,12週間に5回の禁煙治療に健康保険が適応されます。
治療内容
禁煙治療の内容は、以下の通りです。
- 1、ニコチン依存度を判定する
- 2、タバコによって吐く息がどれくらい汚れているのか検査する
- 3、ニコチンの依存度に合わせて飲み薬や張り薬などを処方する
- 4、禁煙に対してのアドバイスを行う
禁煙治療を最後まで受けた人は、途中で中止した人の7.5倍も禁煙に成功しているというデータもあります。
治療を受けたい人は、禁煙外来があるなど専門の医療機関で、保険診療に対応している施設を選びましょう。
費用はいくらくらい?
禁煙治療をしようと思ったら、気になるのは費用ですよね。そこで費用の一例ですが、自己負担が3割の人が3か月の治療スケジュールを受けると、13,000円~20,000円程度の費用が必要だと言われています。
タバコを吸う量は人によって違うので一概にはいえませんが、タバコ代の方が高い可能性は十分にあります。ファイザーのホームページでは1日のタバコ代を元に何日分のタバコ代があれば禁煙治療ができるかわかるという興味深いシミュレーションがありますので、試してみてはいかがでしょうか。
禁煙によるストレスとの向き合い方
禁煙と聞くと、ストレスがすごいというイメージがあるかもしれませんが、禁煙補助剤を利用することで成功した、禁煙外来に通うことで上手く行ったなどの体験談もあります。
また、血行改善も兼ねてウォーキングやストレッチをするなど、タバコに意識が向かないようにすることも一つのストレス対策となります。
禁煙のストレスをタバコで解消したくなったら本末転倒ですので、医療機関を頼るなど周りの人の力を借りることで乗り切る方法もあることを知っておきたいものです。
なんか費用が高い気がしてたけど、タバコを吸う代金を考えると治療の方が安い可能性もあるとは、目からうろこだな。なんせ、治療に成功すればその後のタバコ代はいらないからな!
タバコはハゲ・薄毛の原因に!禁煙にチャレンジしよう
最初にも確認しましたが、タバコは以下の理由で薄毛に関連していると言えます。
- AGAの原因物質DHTを増やす
- 血流を悪化させる
- 肝臓の代謝機能を落とす
- ビタミンを奪う
直接の原因とは言えないまでも、タバコが髪の生育に大きく関わっていることは確かですから、ぜひ禁煙にチャレンジしたいものです。
とはいえ、ニコチンへの依存性から一人では難しい禁煙。
健康保険も適用されるようになったのですから、ぜひ専門の医療機関を受診し禁煙にチャレンジしたいものですね!
タバコは髪の毛の天敵なんだな!薄毛に悩んでいる喫煙者は、すぐにタバコを止めた方がいいぞ。体に悪い上にお金がかかる、そう考えるといいことは何もないしな。
自分で禁煙するのが難しければ、禁煙外来を活用するのも手だぞ!