頭皮には様々なトラブルが生じることがあります。痒みや痛みなど見た目では分からないもの、フケや赤み・炎症など目に見えて分かるものなど、そのトラブルは様々です。
多く存在する頭皮トラブルの中でも、見た目で気になってしまうのが乾癬です。乾癬は赤みや皮膚の剥がれがあるため、人から見た印象が気になってしまうわけですね。
その上、頭皮の炎症があるために抜け毛になってしまうのではないか、という心配をする人も少なくありません。乾癬と抜け毛には関係があるのか、乾癬の原因は何か、対策はあるのか、紹介していきましょう。
なぜ?頭皮の乾癬で毛が抜ける理由とは
まず乾癬という病気について理解をする必要があります。
尋常性乾癬ってどんな病気?他人にうつるの?
乾癬はフケと混同されることがありますが、遺伝的要素やストレス等の外的要因によって引き起こされる皮膚疾患、病気なのです。
頭皮だけにできるわけではなく、ワキや太もも、背中、手足…といった全身にできる可能性がある疾患です。
基本的な症状としては境界が明確な皮膚の盛り上がり(浸潤・肥厚(しんじゅん・ひこう))が出来、その上に赤みを伴った発疹(紅斑(こうはん)といいます)が出ます。
さらにその発疹の上に銀色のフケのような「鱗屑(りんせつ)」と言われる皮膚が固くなったようなものが付着した状態になります。
この鱗屑がフケのようにパラパラと落ちるため、頭皮に尋常性乾癬が発症した場合フケと勘違いしやすいと言われています。
乾癬には症状によって以下の5つに分類されますが、9割が尋常性乾癬と判断されます。
名称 | 症状の説明 |
---|---|
尋常性乾癬 | 上記で書いたような皮膚の盛り上がりが出来、 鱗屑がポロポロと剥がれ落ちる症状が出ます。 |
関節症性乾癬 | リウマチのように関節に腫れや痛みが出ます。 乾癬の症状が出てから出ることが多いです。 |
滴状乾癬 | 溶連菌という菌に感染した後、直系1cm程度の 小型の湿疹が全身に現れます。 溶連菌感染の治療によって症状が改善します。 |
乾癬性紅皮症 | 尋常性乾癬の紅斑が全身に広がってしまい、 皮膚全体の80%が赤くなってしまった状態です。 尋常性乾癬を放置するなどによって こちらに移行することがあります。 |
汎発性膿疱性乾癬 | 紅斑の上に膿疱(膿が入った水疱のようなもの)が たくさん出来、発熱や全身の倦怠感も伴います。 入院による治療が必要な、乾癬の中で一番重い症状です。 |
尋常性乾癬から移行するものも多いので、基本乾癬と診断された場合は尋常性乾癬だと思って問題ないでしょう(医師から詳細な説明があると思いますが)。
何が原因で乾癬になってしまうのか…ですが、残念ながらまだ原因は解明されていません。
乾癬になりやすい体質の方がストレスや感染症など別の要因と組み合わさることで症状が発症するのでは?と考えられています。
また、尋常性乾癬は「尋常性」という名前が含まれている通り、現状の医学では「完治」は難しく、上手に症状を抑えて(出さないようにして)付き合っていくことが求められます。
ただ、頭部白癬などと違い他人に感染することはありません。
抜け毛と乾癬の関係は頭皮環境にあり!?
乾癬の症状が頭皮に表れた場合、頭皮の皮膚サイクル、ターンオーバーが異常な速さになる事でフケの様な剥がれが生じてきます。
しかし、乾癬になるとターンオーバーが10倍の速さで行われる。角質が異常なペースで増殖して剥がれる、赤みが出るなどの炎症が生じる。
赤みが出るなど頭皮に炎症が生じた状態となりますので、当然毛髪にも影響が出てきます。頭皮が乾燥して必要な皮脂が失われると、毛根に細菌が入るなどして炎症が起こりやすくなり抜け毛に繋がります。
頭皮に乾癬ができると、その部分は乾燥してしまいます。つまり、乾燥による抜け毛と同様な状態が起きてしまうのです。頭皮では、適度な皮脂がバリアの役割を果たしています。乾燥し、この皮脂が失われてしまうとバリアの役目を果たすことが出来なくなってしまうのです。
■乾癬によって乾燥した頭皮は、抜け毛が起きやすい状態になってしまう
健康な毛髪は健康な頭皮に、と言われるぐらい毛髪にとって頭皮は重要です。乾癬だけではなく、頭皮にトラブルが起きないよう、健康な状態を保つことができるようにすることが、抜け毛予防のために必要なのです。
抜け毛が気になる方はこちらの記事も合わせてお読みください。
乾癬だけじゃなく、清潔にも気をつけた方が良さそうだな。
偏った食生活が影響!?乾癬の原因となる生活習慣をチェック
乾癬は体の様々なところに生じるものですが、頭皮に症状が出ることで発覚することも少なくありません。頭皮に乾癬が出来てしまう原因、どのようなものがあるか見ていきましょう。
実は、頭皮に乾癬が出来てしまう医学的なメカニズムはまだ解明されてはいません。遺伝的な要因もあると言われているのですが、他にも生活習慣等で乾癬が出来てしまう要因として言われているものがあります。
- ストレス
- 高カロリー、高脂質な食事
- 睡眠不足
- 肥満
このような生活習慣も、乾癬に繋がってしまう要因だとされているのです。日本での乾癬の患者数では男女の割合は2:1となっており、男性に多い病気だと言えます。
また、年齢別でみると、男性は30代に発症が多いとされているのですが、それは乱れた食生活が原因だと考えられています。
高カロリー、高脂質な食事をとっていることが、乾癬になってしまう要因の1つとなっているのです。コンビニ食や外食等で食事のバランスが乱れていると、乾癬になってしまうリスクがあると言えます。
バランスの良い食生活は頭皮も含めた健康の基本であるということを理解しておきましょう。
乾癬になるのは遺伝的要因が大きい!?
乾癬は、まだ正確なメカニズムが分かっていない病気の1つです。
しかし、その要因については日本皮膚科学会が回答していますので紹介しておきましょう。
乾癬の原因
まだ完全なことは分かっていませんが、遺伝的素因があることは解っています。遺伝的素因に様々な環境因子が加わってしまいますと、症状が発症すると言われています。
※環境因子とは
不規則な生活スタイル、食事、ストレス、肥満や感染症、特殊な薬剤などがこれにあたります。
つまり、遺伝的要因がまず第一にあり、乾癬が発症するにはストレスや病気などの環境要因が関係しているということが言われているのです。ヤンセンファーマ株式会社によると、乾癬になる原因は下記のようになっています。
遺伝的要因があるとは言っても、乾癬の親の子供で発症するのは5%程度と言われています。遺伝的要因があっても、必ず発症するわけではありません。環境要因を防げば良いわけですね。
■バランスの良い食生活を心掛けるようにすることも重要
ステーキ、揚げ物、多少の我慢が必要なのだな。
乾癬はフケとは違う!?それぞれの症状とその違いをチェック
乾癬とフケはよく混同されます。しかし、全く別の物であるということを知っておきましょう。
乾癬は今まで述べたように皮膚の病気になりますが、フケは頭皮の乾燥、皮脂量が増えることが原因の角質の剥がれです。
フケの原因をいくつか紹介します。
- 頭皮が乾燥する
- シャンプーが合わない、洗い残しがある
- 脂質、糖質の摂りすぎ
- 血行不良
食生活や洗髪等の要因で起こることが多いのがフケです。
これらの要因を取り除けば自然と治ることも多いため、必ず通院しなければいけないものではありません。そして、乾癬は頭皮だけではなく全身に症状が表れる病気でもあります。
ヤンセンファーマ株式会社によると、乾癬の最初期発症部位は下記の通りです。
頭皮に出来た場合はフケのように見える皮膚の剥がれが全身に表れるわけです。爪が変形してしまうのも乾癬の症状の1つです。どこに出来るか、どのくらいの大きさなのか、どの程度症状が出るのか等は個人差がある病気なのです。
しかし、乾癬とフケは個人で判断することが難しい場合もあります。少しでも気になる点があるのであれば、一度皮膚科を受診してみると良いでしょう。
しかし、念のため病院へ行って確認してもらう方が良さそうだ。
知っておきたい!乾癬の4つの治療法
乾癬は治らない病気ではありません。しかし、治療をせずに治そうというのは困難な病気になります。
しっかりと病院で診察を受け、その人にあった治療を受けることが大切なのです。
乾癬の治療には大きく4つの方法があります。それぞれ紹介していきましょう。
乾癬の基本の治療法、外用療法を知ろう
乾癬と診断された人が受ける基本的な治療が外用療法です。
塗り薬による治療法で、炎症を抑えるステロイド外用薬、ターンオーバーを抑制するためのビタミンD3外用薬などが用いられます。
ステロイドは強い薬になるので効果が表れるのが早い特徴がありますが、その一方で使用が長期になると皮膚萎縮等の副作用が生じる場合があるため注意が必要です。両方の塗り薬を併用する場合、一方だけ使用する場合など個人の症状、状態によって異なります。
体内から乾癬を治療する内服療法
飲み薬での治療法です。ターンオーバーを抑制するため、免疫反応を抑える薬などを飲み、治療する方法です。
内服療法だけ行われる場合もありますが、他の治療法との組み合わせになる場合もあります。
他の治療で効果が薄ければ光線療法という選択も
紫外線を照射する治療法です。
光線治療は広範囲に乾癬が出来ている場合、外用薬で効果があまり認められない場合などに用いられることが多い治療法です。
光線治療にはいくつか種類がありますが、最近はナローバンドUVB療法という中波長紫外線の中の特定の波長のみ照射する方法が用いられることが多くなっています。
治療できる場所が限られている抗体療法とは
今までの治療法で効果が認められないような場合に用いられることがある治療法ですが、効果が高い分副作用の危険もありどこでも出来るわけではありません。
大学病院など治療可能な先は限られています。
皮下注射と点滴の2種類があり、比較的重症な患者のための治療法であると認識しておきましょう。内服療法で副作用が出てしまった場合にも用いられる場合があります。
お金をかけずに治療!?自分で出来る対策とは
病院で行う治療は必要ですが、その他にも自分で出来る乾癬の対策があります。その1つが日光です。
乾癬の患者さんに対して日光浴は良い影響を与えます。適度の日光浴は乾癬を上手にコントロールすることに役立つと言われています。
※
当たり過ぎや、稀に症状を悪化させる患者さんもいるのでご注意ください。
このように、日光が乾癬に対して良い効果をおよぼしてくれるという意見があるのです。また、ストレスを溜めない事も重要です。
それにしても乾癬には日光とは意外だったな。
これからは毎日ビーチで日光浴だな。
乾癬は治る!そして悪化しないように対処できる病気です!
乾癬は長期的な治療が必要な病気です。しかし、治らない病気ではありませんし、日常生活に注意をすることで悪化することを防ぐことが出来る病気なのです。
- ストレスを溜めない
- 高脂肪摂取を避けバランスの良い食事をとる
- 風邪等の感染症に注意する
- ゴシゴシ洗わないようにする
- 肌の乾燥を避ける
これらが乾癬を悪化させないために有効であると言われています。
規則正しい生活を送り、バランスの良い食事をとり、ストレスを溜めない、健康のために良いことが乾癬にも良いということですね。
乾癬が出来てしまった、これは乾癬ではないかと感じたときは、速やかに皮膚科を受診し専門家の治療を受けるようにしましょう。
なるほどな。
フケと乾癬は勘違いしやすいから、君たちも注意するんだぞ!
あと、乾癬になったら慌てずに病院に行ってくれ。
ん?なになに?「もう、記事を読んだから知ってる。偉そうにしゃべるな。」だと?
HAHAHA!たしかにな。失敬失敬!・・・チッ!