おでこが広い人は一般に聡明だと言われています。頭蓋骨は知性を司る脳の容器ですから、確かにおでこが立派だといかにも賢そうに見えますよね。
でもそれって事実なのでしょうか?賢く見えることと、実際に賢いかどうかはまた別の話かもしれません。
そこで色んな面からこの説を検証してみました。おでこと知性との気になる関係に迫ります!
額が広いとIQも高い!?オデコで知性は判断できるのか?
「広いおでこは賢い説」検証の手始めとして、偉人賢人達の肖像から、おでこの広さと知能の関係を追ってみました。平均の倍以上もあるIQの持ち主なら、さぞやおでこも立派なはず。でも現実にはそうとも限らないようです。
古今東西の偉人達とIQの気になるカンケイ
過去の経歴や功績から、多くの有名人の知能指数(IQ)が推定されています。今回は、肖像や写真から、彼らのおでこにも注目してみましょう。
ゲーテは、世界の賢人の中でもIQ200を超える数少ない内の1人です。70歳時の肖像ですので薄毛の要素も入っていますが、かなり存在感のある額ですね。
数学から哲学、政治まであらゆる分野をこなしたドイツの天才ライプニッツは、当時の習慣でカツラ着用ですが、安定感のある広いおでこです。
この魅惑的なおでこの持ち主は、イギリスの哲学者ミルです。禿げているせいでどこまでがおでこなのか判別つきませんが、いかにも賢そうなシルエットですね。
ところが他を圧するIQ300(!)のノイマンは、生え際の後退を差し引いても、それほどのおでこの持ち主ではありません。
既成の枠に納まらない熊楠にはIQのデータも見当たらないのですが、18カ国語を解し「歩く百科事典」と呼ばれた人が賢くないはずはありません。しかし彼もやっぱり、おでこは普通サイズです。
このように実例に当たってみると、おでこ=聡明とは一概には言えないことがわかります。ならばこの「広いおでこは賢い説」、一体どこに根拠があるのでしょう?
実は俺もIQは高いんだ。
今やってることとは関係ないけどな(泣)
ホモ・サピエンスの証明!おでこの中身は前頭葉だった!?
ほ乳類の中で、額の存在が目立つのは人間だけ。ならばこれが知性の証拠であってもおかしくありません。ホモ・サピエンス以前の、猿人や旧人のおでこの大きさはどうだったのでしょうか?
ホモ・サピエンスはおでこが広い!
この図をご覧下さい。これは猿人から現代の我々に至る頭蓋骨の進化の歴史です。進化と共に頭部は大きくなり、それと同時に額の高さが増して「おでこ」として目立ってくるのが解りますね。猿人や旧人のおでこは傾斜しており、正面から見ると殆ど高さがありません。
しかし頭蓋骨は確かに巨大化していますが、中身である脳のサイズはそう変わりません。進化を決定づけているのは脳の大きさではなく、前頭葉の発達によるのです。
また19世紀アメリカで起こった、前頭葉に傷を負ったまま生き延びたフィネアス・ゲージの症例です。事故で頭蓋骨を鉄棒が貫通し、前頭葉の一部を傷つけてしまったのです。幸いなことに傷は回復しましたが、その後性格が変わってしまったと言われています。
その後の研究から、前頭葉は社会性や人格など、人としての知恵を司る重要な部位だということが分かっています。そして前頭葉が位置するのは下図の黄色の部分、つまりおでこと接する部分なのです。
立派なおでこは、ホモ・サピエンスとして前頭葉が発達している証しなんですね。おでこが広いといかにも賢そうに見えるのは、人類の発達の歴史が根拠になっているのかもしれません。
前頭葉の発達とおでこの広さは無関係
また頭蓋骨における額の広さと現実の外見上のおでこの広さが、必ずしもイコールとは限りませんよね。太れば顔全体のバランス上相対的に額が狭く見えますし、髪の生え際の形状によってもおでこの広さは違ってきます。
一口に「おでこが広い」といっても、その内実は様々。知性との関わりを、外見だけで簡単に決めることはできないのです。
※※おでこの広さが気になる方は髪型を工夫して、隠しましょう。
おい、お前達!サルじゃない証拠としてデコは堂々と見せとく方がいいぞ。
俺はもう必要以上に見せてるけどな。
やはり広い方が賢い!?人相学から見る額の意味とは?
どうやらおでこと知性との関係に、科学的根拠を見つけることは難しいようですね。ではそれ以外の分野ではどうなのでしょう?そこで骨相学と人相学では、額についてどう言われているのかを調べてみました。
西洋の骨相学においてはズバリ!広いおでこ=知性
ズバリ「おでこが広ければ賢い」と言い切っているのが、西洋における骨相学と人相学です。骨相学は18世紀のドイツで誕生し、19世紀前半の欧米で大流行した学問です。
【翻訳】
人相学と骨相学において、前額部の形は知性と知能を象徴するものと考えられた。
1942年、Samuel R. Wellsは、「動物、その最も知能的なものでさえ、全く前額部があるとはいえない、本質的に前額部は大変衰えている」と書いた。
(※)サミュエル・R・ウェルズはアメリカの骨相学者
西洋人相学においては、今もこのように「広い額は知性的で論理的思考に優れている」という考え方が見られます。(最後に「額が狭い人が知性的でないという訳ではありません」との但し書き付き)
東洋人相学のおでこは知性だけじゃない
一方で東洋の人相学は統計学に基づいており、もう少し現実的です。おでこも単に知性を表すものではなく、「上停」といって、人生の初期の運気や目上の人との関係を表しています。知性についても言及されますが、それはほんの一部に過ぎません。
人相学では以下のように生え際の形やおでこのしわもポイントになるので、年齢と共に運気が変わるのも特徴です。いずれにしても東洋人相学においては、おでこは知力だけでなく、その人の全体運を表すものなのです。
●おでこの長さ(タテ方向)
●おでこの角度
●しわ
●生え際の形
●おでこの肉付き、ツヤ
またおでこを出すことは、運気のアップに繋がります。風水でもおでこは気の入り口と言われ、社会的に成功したいのなら隠さない方がいいのだとか。
確かに髪を上げて額を出すと、賢いかどうかはともかく、どんな人でも大人っぽくキリッと見えるのは確かですよね。髪型を変えておでこを出したらいいことがあったという声はよく聞かれます。狭いおでこも広いおでこも、運気の面では隠さない方が正解です。
東洋の人相学では俺ってどうなんだろう…
最近、正直言って限界感じてるのよ。ここだけの話。
おでこが広いというだけでは賢いとは言えません
おでこは確かに人類の知性の象徴ではあるのですが、ただ広く見えるからといって、賢いとは言えないようです。
色々と調べた結果、おでこの広さを知性と関連づけているのは、西洋の骨相学のみだということが分かりました。どうやらこれが「広いおでこは賢い説」のベースになっているようです。しかし骨相学は似非科学の一種ですので、科学的根拠とは言い難いものです。
一口におでこが広いと言っても、生え際や肉付きなどその形状はさまざま。知性をおでこだけで判断しようとするのは、やっぱり無理がありますよね。
なるほど!おでこが広いと賢いという話は、どうやら迷信っぽいな。
私はおでこも広いが、心が広いからな!「おでこが広いと心が広い」という説もありそうだな。
ん?なになに?「HAGEリーマンの心の広さは、ペットボトルのキャップくらいの大きさ」だと?
・・・ぺッ。