薄毛に効果的な治療薬として有名なのは?と聞かれると、多くの方が「プロペシア(有効成分フィナステリド)」または「リアップ(有効成分ミノキシジル)」を挙げるのではないでしょうか。これらはどちらも厚生労働省の認可があるので、効果があるのも納得です。
ところが最近になって、プロペシアと似たような作用なのにプロペシアよりも効果が高いと言われる治療薬が注目を集めています。それが、「ザガーロ」という名前の治療薬です。2015年に国内で認可されたばかりですから、今後の治療効果が期待されます。
とはいえ、効果が高いとなると、心配なのが副作用です。そこで、ザガーロという薄毛治療薬の効果や副作用について、詳しくご紹介します!
ザガーロの主成分はデュタステリド!元は前立腺肥大の薬です
ザガーロは、2015年9月に厚生労働省に承認されたばかりの新しい男性型脱毛症治療薬です。男性型脱毛症はAGAとも呼ばれるので、AGA治療薬とも言われます。
では、ザガーロとはどのような治療薬なのか、主成分や販売元などの情報を確認しましょう。
有効成分はデュタステリド!
ザガーロには、デュタステリドという有効成分が配合されています。
実はこの成分、薄毛治療のために開発されたのではなく、前立腺肥大症の治療用成分として開発されたものです。
前立腺肥大症の治療薬として使用されていた際の名称はアボルブでしたが、アボルブに薄毛改善効果があることがわかり、それを元に薄毛治療薬としてザガーロが登場しました。
前立腺肥大症には、ジヒドロテストステロンという悪玉ホルモンが関係しています。後ほど詳しく確認しますが、男性型脱毛症にもジヒドロテストステロンが関係しているので、効果が得られるわけです。
ザガーロの販売元と種類
ザガーロの販売元は、東京に本社を持つグラクソ・スミスクライン株式会社です。
ザガーロは医薬品に分類され、以下の2種類が販売されています。
- ザガーロⓇカプセル0.1mg
- ザガーロⓇカプセル0.5mg
この2種類の違いは有効成分デュタステリドの配合量で、配合量が0.1mgのものと0.5mgのものがあるんですね。ザガーロはカプセルタイプで、1日に1カプセル服用するのが基本です。
同じジヒドロテストステロンが関わっていることが理由だというから、どちらの改善にも役立つのは納得だな。
だから効果アリ!ザガーロは2種類の5αリダクターゼを阻害する!
ザガーロについての情報を確認したところで、なぜザガーロに薄毛改善効果があるのか、詳しく確認したいと思います。
AGAの主な原因はジヒドロテストステロン!
ご存知の方も多いかもしれませんが、男性型脱毛症であるAGAの主な原因は、ジヒドロテストステロン(DHT)という悪玉ホルモンです。通常髪の毛は、生えて成長し古くなると抜け落ちるということを一定の周期で繰り返しています。
それをヘアサイクルもしくは毛周期と呼ぶのですが、ヘアサイクルには以下のような時期があります。
周期の名前 | 特徴 |
---|---|
成長期(2年から6年) | 新しい毛髪が生え、成長する時期 |
退行期(約2週間) | 毛根が次第に小さくなり、毛髪の成長が止まる時期 |
休止期(3か月から4か月) | 毛根が眠っている時期 |
休止期が終わると、再び髪の毛は成長期に入って行くわけですね。ところが、男性型脱毛症に悩まされる人の場合、ジヒドロテストステロンが脱毛シグナルを出すことでヘアサイクルが乱れ、成長期が数か月から1年程度に短縮されてしまいます。
そうなると、髪の毛が十分に成長できず細く短くなるため、薄毛を招くのです。これを図で表すと以下のようになります。
つまり、成長期が短くならないようにするには、髪の毛が十分成長できるようにジヒドロテストステロンの発生を抑える必要があるということです。
5α還元酵素がジヒドロテストステロン発生の原因!
では、ジヒドロテストステロンはなぜ発生するのかというと、テストステロンという男性ホルモンが、5α還元酵素(または5αリダクターゼ)と呼ばれる酵素と結び付くことで発生します。
テストステロン自体は、以下のような役割を持つ大切なホルモンです。
- 骨や筋肉を生成する
- 精子を生成する
- 性欲を上昇させる
また、5α還元酵素にもテストステロンの働きを補強する役割があるため、これらはどちらも欠かすことができません。ですが、2つが結びつくと男性型脱毛症を引き起こすわけですね。
2種類の5α還元酵素の違い
5α還元酵素には、以下のような2つの種類があります。
1型5αリダクターゼは全身の側頭部と後頭部の皮脂腺に存在し、皮脂腺の多くに存在しているため皮脂の分泌量が多く、脂っこい人は1型5αリダクターゼの分泌が多いと言われています。
また、2型5αリダクターゼは前立腺と前頭部から頭頂部の毛乳頭に存在し、毛乳頭に多く存在しているのでこの型は髭や体毛が濃い人が多いと言われております。
このように、1型と2型では存在する場所が異なります。そのため、影響する5α還元酵素が違えば薄毛が起こる場所も変わります。例えば、前頭部や頭頂部のように2型5α還元酵素が多くある場所で薄毛が起きている人は、2型の影響が強いと考えられるという感じです。
つまり、薄毛改善のためには、これら2種類の5α還元酵素がテストステロンと結び付くのを阻害する必要があるんですね。
ザガーロは2種類の5α還元酵素をどちらも抑制できる!
ザガーロの販売元であるグラクソ・スミスクライン株式会社によると、ザガーロには2種類の5α還元酵素をどちらも阻害する働きがあります。
そのため、ザガーロは5α還元酵素1型/2型阻害薬とも呼ばれています。
グラクソ・スミスクライン株式会社によるプレスリリースの概要
AGAの原因であるジヒドロテストステロンを「ザガーロ®カプセル」は、
1型及び2型の5α還元酵素を阻害し発生を抑制することができます。
「ザガーロ®カプセル」は、硬毛数や毛髪の太さの増加などAGAに対する効果が確認されました。
実際に、臨床試験によって毛髪数や毛髪の太さが増加することが確認されていますから、ザガーロに薄毛改善効果があることがわかります。
ザガーロを購入したい場合は?
ここまで読まれてザガーロの購入を検討してみたいと思われた方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
それで結びつくのを邪魔すればいいってわけか!ザガーロは2種類ある5α還元酵素をどっちも阻害できるから、効果が高いんだな。
治療効果は高いが副作用の頻度も高い?ザガーロの実態
そのため、副作用が出る可能性があることや、使用上の注意点を知った上で服用するかどうかを決めなければいけません。
では、詳細を確認しましょう。
発生頻度別副作用まとめ
現段階でわかっているザガーロの副作用を、発生頻度別にまとめてご紹介します。
※発生頻度が1%以上の副作用
- リビドー(性欲)の減退
- 勃起不全によるED
- 射精障害(精液の量の減少)
※発生頻度が1%未満の副作用
- 乳房障害(女性化乳房や乳房痛など)
- 発疹
- 頭痛
- 抑うつ
- 腹部の不快感
※発生頻度が不明の副作用
- 蕁麻疹やアレルギー反応、血管浮腫などの過敏症
- めまい
- 味覚障害
- 精巣の痛みや腫脹
- 体毛脱落
- 肝機能異常
- 倦怠感
こうして見てみると、男性機能に関するものから体全体に関わるものまで、様々な副作用が報告されていることがわかりますね。
配合量による副作用の差はありません
ザガーロには配合量が違う2種類の薬がありますが、配合量による副作用の差は無いことがわかっています。
後ほど研究結果を元に詳しくご紹介しますが、2種類のザガーロ間で比較すると配合量が多い方が発毛効果が高いのです。それなのに副作用には差が無いと言いますから、ザガーロを治療法として選択するなら配合量の多い方を選ぶのがよさそうですね。
副作用ナシでAGA治療したい方はコレ
ザガーロの薄毛改善効果に興味は持ったけど副作用が怖い。
と思った方にお薦めなのが「チャップアップ」などの育毛剤です。チャップアップはミノキシジルと似た効果を持つM-034という成分が含まれているだけでなく、プロペシアやザガーロと同じような効果が期待できるサプリも販売しております。
しかも副作用が無いおすすめ育毛剤なので安心して利用する事ができます。興味がある方は育毛剤の特集記事をご覧ください。
デュタステリドの配合量による副作用の差は無いというのは、興味深いぜ。
肝臓に重度障害を持つ人などザガーロを服用してはいけない人もいる!
肝臓に重度障害がある人など、実はザガーロを服用してはいけない人もいます。では、どのような場合に注意が必要なのか、詳しく確認しましょう。
ザガーロを服用してはいけない人
ザガーロは、以下のような人は服用できません。
飲んではいけない人 | 理由 |
---|---|
女性 | 妊婦が服用すると胎児の正常発育に悪影響のため・効果が期待できないため |
未成年 | 安全性が確立されていないため |
肝機能に重度障害を持つ人 | ザガーロが肝臓で代謝されにくく血中濃度が上がるため |
ザガーロは5α還元酵素を阻害することで効果を出していますが、女性の場合は以下のような理由で抜け毛が起こると考えられており5α還元酵素はあまり関係していないので、効果が期待できないと言えます。
- 女性ホルモンの減少やホルモンバランスの乱れ
- ストレス・ダイエットなどによる栄養不足
- 睡眠不足による成長ホルモンの分泌量の減少
- 紫外線やヘアケア用品による頭皮のダメージ
- リンパ球の働きに異常が起こること
実際に、日本皮膚科学会でもプロペシアの有効成分フィナステリドの内服は、女性の脱毛症の治療法としては行わない方が良いとしています。ザガーロもフィナステリド同様5α還元酵素を阻害する治療薬ですから、女性に利用しても有効性が無いばかりか、妊婦が服用すると胎児の正常発育に悪影響な可能性もあるのです。
ですので、女性は利用しないようにしましょう。ザガーロは皮膚からも吸収されますので、妊婦さんや子どもがこの薬剤に触れることも避ける必要があります。ザガーロはカプセルなので直接触る危険性は低いとはいえ、注意するに越したことはありませんね。
重度の肝機能障害がある人の場合、ザガーロの血中濃度が上がる可能性があります。
飲み合わせにも気を付けて!
他の薬との飲み合わせによってはザガーロの血中濃度が上昇することもありますので、以下のような薬を服用している人は注意が必要です。
- HIVプロテアーゼ阻害薬…リトナビルなど
- マクロライド系抗生物質…クラリスロマイシン、エリロスマイシンなど
- アゾール系抗真菌薬…イトラコナゾールなど
何らかの薬を服用している人は自分で判断せず、病院にかかって医師に相談する方が安心ですね。
それから、薬の飲み合わせによっては悪影響が出る可能性があることも知っておく必要があるんだぜ。
輸血やがん検査の時には気を付けて!ザガーロ服用期間中の注意点
ザガーロを服用している期間中には、普段は気にしなくていいことに気をつけなければいけないこともあります。
では、ザガーロ服用期間にはどのようなことに注意すればいいのか、まとめてご紹介します。
ザガーロ服用期間中の注意点
ザガーロを服用している期間中は、以下のようなことに気をつけましょう。
- ザガーロ服用中は輸血できない
- ザガーロによって前立腺がん検査の腫瘍マーカーの数値が低下する
これは日本赤十字によっても注意喚起されていますが、ザガーロを服用中は輸血ができません。もし献血をしたいのなら、ザガーロの服用をやめ、さらに1か月以上間をあけることが必要です。
また、ザガーロなどのデュタステリドが含まれる治療薬を服用していると、前立腺がんかどうかを調べるための腫瘍マーカーの数値が低下します。腫瘍マーカーとは腫瘍が作る物質のことで、その物質の血液中もしくは尿中の濃度を測定することで腫瘍があるか無いかを診断する目安とします。
ザガーロを服用していると、PSAという前立腺がんの腫瘍マーカーとなる物質の数値が低下しますから、前立腺がんがあっても見落とされてしまう可能性があるわけです。ちなみに、これはデュタステリドだけではなくフィナステリドが含まれる治療薬でも同様です。
副作用ではないが初期脱毛にも注意
ザガーロを服用し始めると、2週間ごろから1か月ごろにかけて、初期脱毛と呼ばれる一次的な脱毛が起こることがあります。薄毛治療中なのに髪の毛が抜けることに驚く方も多いのですが、これは副作用には分類されず、初期脱毛が起きたとしてもその後髪の毛は生えてきますので、心配はいりません。
なぜ初期脱毛が起こるのかはっきりとはわかっていないのですが、ヘアサイクルの乱れによって抜け毛が起きていた状態が治療薬によって調整されることから、これまでに生えていた細くて弱い毛髪が抜け落ちるのではないかという説もあります。
ただし、はっきりした原因がわかっていないことも明記されていますので、こういう説もあるのだということでご紹介しています。
初期脱毛を知らないと薬の服用を止めてしまうことがあるのですが、初期脱毛を気にして薬の服用を止めると治療で髪が生えるチャンスを逃すことになりますので、注意が必要なんですね。そのため、ザガーロを服用したい人は、初期脱毛が起こる可能性があることを知っておきましょう。
それから、副作用ではないとはいえ、薬を飲んでいるのに脱毛が起こるってのはびっくりしても仕方ないよなあ。治療薬を使う時は、その薬の性質をしっかり知ることが大切だぜ。
治療効果がとても高いザガーロ、副作用を知った上で利用しよう
ここまでの内容から、ザガーロの発毛効果が高いと言える理由をまとめます。
- 1型・2型どちらの5α還元酵素も阻害できる
- 実験においてプロペシアよりも効果があることが証明されている
ただし、効果が高いからこそ、ザガーロの方がプロペシアよりも副作用が出やすいのは確かです。ザガーロの服用には注意点もあることを知った上で、利用するかどうか決めたいものですね。
それに納得してから治療を受ける必要があるんだぜ!