ペットを飼っている人ならお分かりでしょうが、体毛のある動物は、抜け毛が凄いですよね。
特に季節の変わり目には、大量の毛が抜け落ちます。しかし、動物たちの体にはハゲができるわけではありません。それを考えると、薄毛って人間特有のものだよなあ…としみじみ思いますね。
ですが、動物にも薄毛のものがいるのをご存じでしょうか?なぜ動物でも薄毛になることがあるのか、そして、動物は基本的に若ハゲにならない一方で、なぜ人間は薄毛になるのでしょうか。
そのメカニズムを紐解きながら、薄毛解消のヒントを考えていきましょう。
あり得ないほど大量に毛が抜けるのに動物が薄毛にならない理由
動物の抜け毛って、量も長さもけっこうすごいものです。まずは、そんな動物の抜け毛と人間の抜け毛の基本を比べてみましょう。
そして、抜け毛が激しいにもかかわらず、なぜ動物がハゲないのかについても、考えてみることにしましょう。
動物の抜け毛、人間の抜け毛
こちらの画像は、ハスキー犬の抜け毛を集めたものです。明らかにハスキー犬自身よりも抜け毛の方が大きいですよね。
こんなに抜けるのに、何で犬はまだ毛があるんだ!と疑問に思いますが、その理由は犬の毛の構造にあります。
このように、1つの毛穴から多くの毛が生えているのです。そして、季節に応じて不要な毛だけが抜けるので、毛の量自体は減らないのです。他の多くの動物も同様に、冬毛・夏毛と生え変わります。
一方、人間は1つの毛穴に1~3本程度。季節の変わり目には誰でも抜け毛は多くなりますが、さすがに犬のようにごっそり抜けることはありません。
動物の抜け毛は体温調節!
では、どうして犬や猫などの動物は、あんなに抜け毛が多いのでしょうか。その理由は、動物たちの体にありました。
ほとんどの動物は、人間のように全身から汗をかかないのです!
人間は進化の過程で体毛を失った代わりに、汗腺が発達し、汗によって体温調節をするようになりました。
しかし、他の動物は、毛の生え変わりなどの方法で、体温調整しています。もし毛が抜けず、1年中同じ体毛で過ごすことになったら、夏は暑さ、冬は寒さに勝てなくなります。
動物にとっての体毛は、人間にとっての服と同じ。暑くなったら半袖を、寒くなったら厚着するのと同じことなのです。
※※動物のカツラについて知りたい方はコチラ
俺の髪にも、動物の体毛のような機能があったらよかったのに…!
動物も薄毛に!?ハゲタカから猿まで、知られざる薄毛の動物たち
やっぱり薄毛になるのは人間だけか…とため息が聞こえてくるようですが、動物の中にも薄毛になるものがいるのです。
頭に毛がないハゲタカ
品種改良などで体毛がなくなったものを除くと、ある動物が浮上してきます。そう、薄毛の動物と言えば、多くの人が思い浮かべるのが「ハゲタカ」でしょう。
— クラクリボー (@abikonokiba) 2015, 8月 4
これが、薄毛の動物代表のハゲタカ(正式にはハゲワシ)。その名の通り、ハゲタカの頭部には鳥の体毛である羽毛がほとんどありません。
ちなみに、「ハゲタカ」という鳥はいません。ハゲタカというのは、肉を食べるハゲワシやコンドルたちの俗称なのです。「タカ」とつくのは、ワシもコンドルも同じタカ目(もく)だからです。以下からは便宜上、「ハゲタカ」で統一させていただきます。
ハゲタカがハゲな理由
さて、なぜハゲタカの頭部に毛がないかというと、いくつかの説があります。
ハゲタカは、動物の死骸をエサとしています。大型動物の死骸も、ハゲタカが群がれば、あっという間に骨だけになってしまいます。その際、付着する血液などで羽毛を汚さないために頭部の羽毛がなくなったというのが、第一の説。
また、皮膚に付着した血液などを乾燥させ、紫外線に当たることで殺菌をしているという、第二の説。
さらには、頭部に血管が密集していることから体温の調節のためとする、第三の説などがあります。
つまりどの説にしても、「生活に必要ないor不便だから頭部の羽毛がなくなった」ということです。
これに近いものとして、水中で暮らすイルカやクジラ、地中や洞窟など日の当たらない場所で暮らすハダカデバネズミも、体毛が無い、または極端に薄くなっています。
猿も薄毛になる!?原因も人間と同じ!
ハゲタカ、水中や地中で暮らす動物たちに毛が少ないのは、何となく分かる気がしますよね。しかし、人間に一番近いといわれる猿も、薄毛になることがあります。
猿の中でも薄毛の症状が顕著に出るのが「ベニガオザル」です。
子供からメス、オス共に、確かに薄毛ですね。
ベニガオザルが薄毛になる原因は、なんと「男性ホルモン」!そう、AGA(男性型脱毛症)の原因と同じなのです。そのため、AGA治療薬の研究に、ベニガオザルが使われるほどなんです。
ベニガオザルが人間のように薄毛で悩んでいるかどうか、知るすべはありません。でも、動物にもやはり男性ホルモン起因の薄毛というのはあるのですね。
ペットの薄毛は要注意!
先ほど、動物は薄毛にならない理由を述べましたが、野生動物以外にも、実は薄毛になるペットもいます。
ですが、それは病気のサイン。毛並みがパサパサになったり、薄毛になっている犬や猫は、はたから見ても元気がなさそうですよね。
ペットの薄毛の原因としては、次のことが考えられます。
- 環境などの変化によるストレス
- 皮膚病
- ホルモン異常
また、ペットも長生きするようになり、加齢による脱毛もあります。年を取れば、人間も動物も、老化現象には逆らえないのです。
まだ年若いペットに薄毛の症状が見られたら、念のため動物病院に連れていってあげた方が良さそうですね。
しかし、AGAは男らしさのシンボルという解釈もあるなんて、うれしいぜ!もっとこの考え方が広まってくれたらいいのに!
若ハゲは人類だけ?薄毛の動物との比較から見える3大要因
動物にもハゲがいるというお話をしてきましたが、若いうちから薄毛になり、それが悩みの種になるのは人間だけですよね。
どうして、人間は若いにも関わらず薄毛になってしまうのでしょうか。
人間のハゲる原因
今のところ、薄毛は次の3つが主な原因とされています。
- 遺伝
- 男性ホルモン
- 生活習慣
この3つを、動物たちの薄毛と照らし合わせ、考えていきましょう。
遺伝による薄毛の場合
家族や親戚に薄毛の人がいる場合、高い確率で薄毛が遺伝します。この遺伝は、母方の遺伝子の影響が強く出ると言われています。
ハゲタカなど、元々薄毛の動物も、ある意味遺伝と言っていいでしょう。
AGAの治療として、プロペシアやミノキシジルを使用すれば、遺伝性の薄毛でも効果があります。でも、根本的な治療としては、遺伝子治療が確立されるのを待つしかありません。
男性ホルモンによる薄毛の場合
男性ホルモンは男らしい体つき、つまり筋肉を成長させる役割や、ヒゲや体毛を濃くする働きなどがあります。しかし、頭髪については、全く逆の作用を見せます。
テストステロンという男性ホルモンが、5αリダクターゼと結びつき、ジヒドロテストロンと呼ばれる男性ホルモンに変化します。このジヒドロテストロンがアンドロゲンレセプターという毛乳頭にある受容体と結びつき、脱毛因子に至ってしまうのです。
つまり、男性ホルモンが多く、かつ5αリダクターゼへの感受性が高い体質だと、薄毛になりやすいと言えます。
ベニガオザルも、男性ホルモンで薄毛になる、とご紹介しましたが、動物は闘争心や筋肉の発達が生存の必須条件です。
そう考えると、動物界では男性ホルモンが多い個体が、より強いオスとしてたくましく生きていくのでしょうね。
生活習慣から来る薄毛の場合
20代~30代というと、働き盛りで、社会人として成長段階にある時期ですよね。でも、若さゆえに無理をしたり、夜更かし、ジャンクフードの食べ過ぎ、社会的ストレスに晒されやすい世代でもあります。また、タバコやお酒の飲みすぎも、頭皮・頭髪の新陳代謝を阻害する原因になります。
動物に若いうちの薄毛がいないのは、このような人間特有の生活の乱れがないからとも考えられます。
ストレスは、野生動物でもペットでも感じるものですが、生活習慣が乱れる動物というのは聞いたことがありませんよね。タバコやお酒をたしなむ動物も、もちろんいません。
■生活習慣と薄毛の関係を知りたい方はコチラ
→薄毛を改善する生活習慣まとめ!日々の生活の中でできる簡単対策
何?今さら遅いなんて言わないでくれ!
人間が薄毛に悩むのは進化の証拠!だからこそより良いケアが重要
お伝えしてきたように、動物は生存競争により薄毛になる種類がいるものの、基本的には禿げません。そこには、動物が抜け毛で体温調節をするのに対し、人間は進化の過程で汗により体温調節をするようになったから、という理由がありました。
また、人間は動物と違って、若いうちから薄毛になってしまう3つの要因がありました。だからこそ、人間は人間にしかできないケアをするべき、とも言えます。
食事やストレス解消などをはじめとする生活習慣に気を付けて、それでも抜け毛が気になるようならお早目のAGA治療に踏み切るなど、人間としての英知を薄毛対策にも活用しましょう!
薄毛の動物を見ていると親近感を覚えるぞ。
頑張って生き抜いている動物をみると、
薄毛に悩んでいるのがちっぽけに思えるよな?
・・あ、そうでもないや(笑)
人間と動物は違うし。(テヘぺろ)