HAGEリーマン誕生秘話
~午前1時を過ぎた頃…とあるビルのオフィスで~
私は数年前まで「地球」よりもはるかに文明が発達した惑星「ザイ」で正義のヒーローを目指していた。
惑星「ザイ」では住人のほとんどが正義のヒーローとして、さまざまな惑星に派遣され、人命救助をしたり悪者どもと戦っている。
だが私は他のヒーロー達と比べると戦闘能力も低くドジばかりしているので、ヒーローとして仕事を与えられず、迷子犬を探したり、ゴミ捨て係をするなどヒーローとは程遠い仕事をしていた。
常日頃から、様々な惑星で活躍し、人々から感謝されている他のヒーローを見て
『本物の正義のヒーローになってみたい!』
『人々から羨望の眼差しで見られたい!』
という気持ちが日増しに強く湧き上がってきたのである。そして、そんなヒーローになりたい私に、3年前ある転機が訪れた。
文明が発達しておらず、力も非力な種族しかいない「地球」という惑星が宇宙の遥か彼方にあることを偶然に知ったのだ。
地球なら、こんな私でも本物のヒーローになれるのでは?人々からちやほやされるのでは?と思いすぐさま地球への移住(密入国)を決意した。
地球では、私の思惑どおり、ピンチの時に颯爽と現れ災害や事故などから人助けをする謎のヒーローになることができた!
しかし、「ヒーロー手当」が国から支給されるザイとは違い、地球でヒーローをしてもお金が1円も出ない。
(むしろもともと密入国だから見つかったら捕まる…)
そこで私は、サラリーマンをして生活費を稼ぎながら、地球でヒーローを続けているのである。
私が務めている会社はA部署からE部署までの階級制になっており、私は会社のお荷物が集まるENDのE部署と言われている最下層の部署だ。このイケメンのジョージは会社のトップエリートがあつまるA部署のエースで私の同期だ。
こ、こいつ・・・。私が行けないと知ってて!なんて嫌なヤツなんだッ!
自分より階級が低い同期を、暇を作ってはワザワザからかいに来る。相変わらず嫌な地球人だ!
あぁ、ただでさえヘトヘトなのにあの地球人のせいで余計な体力を消耗した。
私の体力は地球人の10倍はあるはずなのに、この終わりのない仕事のせいでそろそろ限界である。
(この地球のブラック企業という会社は、なんと非人道的で野蛮な組織なんだ…。そろそろ、過労死するぞ…… )
正直、サラリーマン生活だけでも身も心も限界ラインを突破している。土日出勤は当たり前で、毎日夜中まで仕事をしなくては間に合わない。
今日もすでに夜中の1時過ぎまで仕事をしているが、未だ終わる気配がない。強靭な私だから耐えられるが同僚は次々と辞めていく…。
忙しすぎて最近まで気づかなかったが、いつの間にか頭髪がかなり薄くなってきた。
「ザイ」にいた頃はフサフサだったのに…。この惑星の生活環境も影響しているのだろうか?一体、何が原因なんだ?
とりとめもないことを考えながらキーボードを叩いていると、外から若い女性の悲鳴声が聞こえてきた。
仕事もまだ×10残っているし、疲労度もMAXなので助けに行くのを迷ったが、若い女性の悲鳴だったので助けに行くことを決意した。
私が席を立つと、同僚が(またトイレかよ)という冷たい視線を浴びせてきたが、愛想笑いをしてトイレに駆け込み変身をしてトイレの窓から空を飛んだ。
私は今やケナイシティを守る謎のヒーローなのだ。昔のように他のヒーローの活躍を遠くからみている只の事務員ではない。マントをなびかせながらマッハ5の速度で、事件現場へ向かった。
そこには今まで見たことのない怪物が、サラリーマンに襲いかかり髪の毛を引き抜いては貪り食べていた。
そして、その隣にはあの悲鳴を発したと思われる可愛らしい女性が、目の前の恐ろしい光景に恐怖し腰を抜かしていた。
私に気づき、襲ってくる怪物を左ストーレートで一蹴。私にかかれば、どんな怪物も瞬殺なのだ。
(それにしても、おっかない怪物だったな。。地球にあんな怪物がいるなんて知らなかったぞ!)
倒れこんでいた女性がお礼を言ってきた。これだ!この瞬間なのだ。この美人の熱い眼差しと賛美の言葉。これがあるからヒーローは辞められない!
(おぃ!?よく見たらウチの会社のマドンナ、キャサリンではないか!)
キャサリンは超美人で仕事もできて、なにより私のスーパータイプなのだが、私のような冴えない男には冷たい女性なのだ!
(それにしても、いい匂いだ。クンカクンカ…あぁ、たまらない。)
周りが騒がしい。ぞろぞろと野次馬が集まってきたようだ。
キャサリンにそう言われ一瞬迷ったが、謎のヒーローの方がカッコ良いという私の美意識に反するので、名乗らない事にした。
私はそう言い残し、夜空に飛び立った。
今日もいい仕事をした!しかもジョージに一泡吹かせる事もできたし、キャサリンともハグできたし、なんて素敵な夜なんだ!
と満足感で心がみたされたが、数秒後には未だ会社に「本当の仕事」が残っている事を思い出し、少しだけ涙目になった。
仕事との闘いも終えた私は、寝る前にPCを見て思わず叫んでしまった!
Yapooトピックスに私の話題が載っていた。私の話題が掲載されるのは珍しい事ではないが、今回は驚愕の記事が掲載されていた。
『謎のヒーロー、初めて名を明かす「私はHAGEリーマン」』
なんてことだ。恐らくキャサリンや周りのギャラリーが「ハゲたリーマン」を「HAGEリーマン」と聞き間違えてしまったのだろう。
しかも、なんというふざけた名前だ。ハゲなんて言葉がつくヒーローは宇宙中探しても絶対にいない。。。
ケナイシティのバッ●マンだとか、空飛ぶアイア●マンだとかカッコ良い通り名を期待していたのになんというヒドイ名前だ…。
Turutterではどんな反応をしているのか、気を失いそうになりながらもエゴサーチをしてみた。
このふざけた名前を拡散したのはキャサリンだった!
こ、これは嫌な予感がするぞ!リプを見てみよう・・・・。
地球の為に頑張ってヒーローをやってきたのに、この仕打はあんまりじゃないか!
ハンバーガーをガッつく哀愁漂うハゲリーマン、滑稽だな。
— じゅる (@juru223) September 17, 2014
ジロジロみてくるなハゲリーマン、前髪ぴちょびちょやないか、滝行でもしてきたんか
— THIS IS 森 DAICHI 制作 (@THISis33i33) July 18, 2014
先日久々に本屋さんのアフィリ本コーナーで、月5万副業で稼ぐ的な本をパラパラと見てたんだけど、俺の横でエクセルの本読んでたハゲリーマンが温かい眼差しを俺に送ってきてハートウォーミングな気持ちになった。
— がんだむ (@SPAMerGundam) June 23, 2016
左隣のハゲリーマンがうざい。
— かめらのきたむら@小針あかねてやん (@cameranokita) March 4, 2016
酔いつぶれてフラフラ居酒屋から出てきたハゲリーマンをバイト帰りに見かけて俺もこんなふうになるのかと憂鬱になってた
— 暗黒方界邪神ゆいぱにょ (@yui_panyo) May 3, 2016
一刻も早く、こんな名前ではないと世間に伝えなければ・・・。
その後、しばらく考えて、この誤解を解く方法を考えてみたが何も思い浮かばなかった。
……1度広まってしまった名前を、実は違うんだ!と発表し変える事もできないであろう。不本意ながらこのふざけた呼び名を受け入れる事にした。
HAGEリーマン爆誕!
この日、私は胸にHAGEという十字架(ロゴ)を入れた。
その日からずっと、ケナイシティの子どもたちにニヤニヤ指を差されハゲハゲと呼ばれながらも、この街の平和を守っている。
あのキャサリン達を襲った毛をむさぼり喰う怪物をキッカケに、私は様々な調査を開始した。
その結果、あの怪物を操っていたのが「ジヒドロテストステロン」であり、ケナイシティの男性ハゲ率を70%にまで引き上げた悪の根源であることを突き止めたのだ!
~HAGEリーマンとジヒドロテストステロンの漢の戰いがはじまる!~
© 2015- 【育毛剤のミカタ】発毛しくじりヒーローのAGA戦記