円形脱毛症の原因や治療を徹底解説！AGAとの違いはどこにある？

「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2010」によるとアメリカでは人口の0.1～0.2％の方が円形脱毛症を発症しており、日本でも同程度の割合で円形脱毛症に苦しんでいる方がいるのではないかと言われております。

多くの方を悩ませている円形脱毛症とはどのような原因で発症してしまうのでしょうか？また、発症してしまった場合どのような治療方法があるのでしょうか？この記事では円形脱毛症になってしまった方やご自身が円形脱毛症なのではないか？と思っている不安な方に向けて、その原因、治療方法、また予防方法まで詳しくご紹介させていただきます。

円形脱毛症をAGAと勘違いしている方も多いので、AGAと間違えないためにもぜひご参考になさってください。

円形脱毛症はAGAではない。原因と種類をご紹介

円形脱毛症について、まずはもっとも基本的なところから見ていきましょう。円形脱毛症とはいったい何が原因で、AGAとはどんな違いがあるものなのでしょうか？

円形脱毛症に気づくとき

円形脱毛症に予兆というべきものがあるケースは少なく、ある日突然、円く禿げている部分があることに気づくことが多いです。

円形脱毛症の円いハゲ部分は「脱毛斑」と呼ばれており、シャンプーをしているときや髪のセットをしているときなどに、突然この脱毛斑に気づいて愕然とするというケースが多いようです。

また、痛みやかゆみなどの自覚症状があることはまれなので、散髪に行って美容師さんに指摘されるまで気づかなかったとか、友人に言われて初めて気づいたという人も少なくありません。

円形脱毛症の種類

昔から「10円ハゲ」と呼ばれることが多いため、丸いハゲがひとつあるものを円形脱毛症と思っている方も多いかと思います。しかし、円形脱毛症にはいくつかのタイプがあるんです。

このようなタイプがあり、それぞれ治療期間や適する治療法などが異なります。

円形脱毛症の原因

円形脱毛症の原因と言えば、誰もが思い浮かべるのは「ストレス」ですよね。確かに、強い精神的ストレスをきっかけにして発症することもありますが、それだけではないんです。

このように、円形脱毛症は自己免疫疾患でもあるのです。

自己免疫とは、異物や細菌などの異物を排除する身体の働きですが、何らかの要因で、正常な自己までを攻撃・排除してしまうことがあります。

このように、本来なら髪を太く長くしていくはずの成長期の毛包が、免疫細胞のリンパ球の攻撃によって壊されてしまうために髪が抜けてしまうことが、円形脱毛症のメカニズムです。

また、遺伝が関係することがあるとも言われています。

円形脱毛症とAGAとの違い

ここまでのお話だけでも、円形脱毛症とAGAはまったくの別物であることが何となくお分かりいただけたかと思います。さらに、もう少し詳しく両者の違いを見てみましょう。

このように、比較的はっきりとした違いがあります。AGAの脱毛部分は徐々に髪の密度が減っていく感じであるのに対し、円形脱毛症の脱毛斑は一気にツルツルになるのが、最も分かりやすい違いと言えますね。

円形脱毛症の治療は？症状に応じた治療方法をご紹介します

円形脱毛症がどんなものか一通り分かったところで、次は治療法についてお話します。

円形脱毛症は、単発型で脱毛斑も小さければ、自然治癒することも少なくありません。しかし、そうでない場合は、主に皮膚科（子供の場合は小児科でも可）で、症状に応じて以下のような治療が行われます。

薬による治療

単発型や、多発型でも脱毛斑が少なく比較的軽症のケースでは、まず以下のような内服薬あるいは塗り薬による薬物治療が行われます。

• ステロイド剤の内服薬、外用薬
• 抗ヒスタミン剤の内服
• ミノキシジル、塩化カルプロニウムなどの育毛剤

この他、進行が早い場合には、ステロイド剤を注射することもあります。

軽症であれば、治療開始後すぐに発毛が見られます。ステロイドは長期使用できないので、2～3か月たっても効果が出なければ別の治療法に切り替えます。

雪状炭酸圧抵療法

数か月たっても良くならないとき、脱毛範囲が狭い場合には、雪状炭酸圧抵療法が使われることがあります。この方法は冷凍療法の一種で、雪のような柔らかいドライアイスを脱毛斑に当てて、刺激を与えるという治療法です。

刺激を与えて正常な自己免疫反応を取り戻すのがこの治療方法の狙いで、ステロイドなどと違って副作用の心配がありません。

1～2週間に1回のペースで行い、数か月にわたって続けることもあります。

局所免疫療法

さらに経過が長引く場合には、局所免疫療法という方法がよく用いられます。

このように、かなり有効な方法なのですが、難治性の円形脱毛症の場合は、なかなか改善しないケースもあります。

アレルギー体質の人は要注意！円形脱毛症を予防する方法

ある日突然、免疫機能の異常によって発症してしまう円形脱毛症は、誰にとっても他人事ではありません。でも、ハゲができてしまったらやっぱりショックですし、できることなら予防したいですよね。

そこで、円形脱毛症の予防策をご紹介します。

円形脱毛症の予防対策

すぐにでも始められる円形脱毛症の予防法としては、以下のようなものが挙げられます。

• ストレスをためない
• 食事内容や睡眠などを改善して生活習慣を整える
• 頭皮マッサージをする

すでにお話したように、円形脱毛症の直接的な原因は免疫反応の異常ですが、ストレスがその引き金になることはじゅうぶんあり得ます。ですから、ストレスを溜めないことは、有効な予防法と言えるでしょう。

また、生活習慣を整えることは免疫力を高めますので、自己免疫疾患への対処法として理にかなっています。シャンプーのときに、指の腹で優しく頭皮マッサージするのも、頭皮環境だけでなく自律神経も整えるのでオススメですよ。

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円形脱毛症はアレルギー体質と関係がある！？

円形脱毛症は髪の毛そのものの病気ではあるのですが、アトピー性皮膚炎や花粉症など、元々アレルギー体質の人によく発症するという専門家による指摘があります。

したがって、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患がある方は、それをしっかり治療することも円形脱毛症の予防になります。

円形脱毛症に関するよくある疑問と答えをご紹介

円形脱毛症について詳しくお話してきましたが、ここまでお読みになってふと「これって、どうなの？」と疑問がわいた部分もあるかと思います。そこで最後に、よくある疑問とそのお答えをいくつかご紹介しておきます。

円形脱毛症の治療に保険は利くの？

皮膚科や脱毛専門病院など、医師による診察や治療が行われる病院にて行う円形脱毛症の治療には、原則として保険がききます。なので、少ない自己負担で治療ができます。

しかし、治療内容によっては、保険適用外になっているものもあり、たとえば有効な治療法として広く行われている局所免疫療法は、今のところ保険がききません。

また、発毛サロンなど、医療機関ではない施設で行われる治療については、保険適用外となっています。

白髪の人は円形脱毛症になりにくいってホント？

これは、本当です。

白髪は加齢などによって、毛母細胞の中のメラノサイトでメラニン色素が作られなくなることによって発生します。円形脱毛症が自己免疫の異常で発症する際、リンパ球が攻撃するのはメラノサイトなどの細胞です。

また、円形脱毛症の治療によって生えてくる髪の毛は、白髪であることも多いんです。したがって、白髪と円形脱毛症は同時に成立しにくく、白髪の多い人は円形脱毛症にはなりにくいと言えるのです。

ウィッグを使うと治療に影響する？

脱毛斑の範囲が広く、治療にも時間がかかってくると、女性はもちろん男性でも他人の目が気になってしまいがちです。そこで、ウィッグ（かつら）を着用するのも、ひとつの手段です。

しかし、ウィッグによる蒸れなどが、治療に悪影響を及ぼしそうで心配だという人も多いですよね。でも、そんな心配はご無用です！

人目を気にしてストレスを溜めるのも円形脱毛症には良くありませんから、むしろウィッグで普段できない髪型を楽しむくらいの気持ちでいた方が、治療には効果的とも言えます。

ウィッグ以外に脱毛斑を隠す方法はないの？

女性なら髪を結んだりして脱毛部分を隠すことも可能ですが、髪の長さや脱毛斑の位置などによっては難しいこともあります。

でも、今は良いものがあるんです。

プロピアという会社が製造販売している「ヘアコンタクトメディカル（円形脱毛症用）」という商品で、薄さ0.03㎜のフィルムに人工毛がつけられており、フィルムを脱毛斑に貼り付けるだけで、自然に髪が生えているように見せることができるんです。

お値段は、縦45mm×横40mmのサイズで4,104円（税込）で、最大2週間ほど使用可能です。

同じ悩みを持つ人とつながりたい！

円形脱毛症は、なかなか人に言いづらいと感じる人も少なくありません。一人で思い悩んでいる人もいるのではないでしょうか。でも、円形脱毛症でお悩みの方は、とても多くいらっしゃいます。

たとえば、「円形脱毛症を考える会」というものがあり、ここでは円形脱毛症についての情報発信だけでなく、患者さん同士の交流なども推進しています。専門医にインターネット上で相談してアドバイスをもらうこともできます。

3,500円の年会費がかかりますが、興味のある方は同じ状況にある人たちとつながりを持って、引け目を感じることなくお話をしてみてはいかがでしょうか。

円形脱毛症は生活習慣を改善しながら根気よく治療しよう！

円形脱毛症について、AGAとの違いも交えながらお話してきましたが、いかがでしたか？円形脱毛症は、ストレスだけが原因ではなく、自己免疫疾患という捉え方が主流になっている病気です。したがって、医療機関にて専門家による治療が必要です。

再発することも多いため、途中で治療をやめてしまう人も少なくないようですが、リンパ球の攻撃が止めば発症から何年たっても治る可能性はじゅうぶんあります。

あきらめないで、ストレス解消や生活習慣に気をつけつつ、気長に完治を目指しましょう！